モール開発の導線が変化!?SCの最前線を探る

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これまでモール開発における導線は、様々な角度から研究が進められてきました。導線を考慮し、顧客を呼び込む仕組みを作ることは、ショッピングモールが時代を超え、顧客に愛され、地域で生き残っていくための戦略の1つとも言えます。

そんなモール内の導線やショッピングモールの型は、時代とともにどんな変遷を辿ってきたのでしょうか?

また最先端のショッピングモールにはどのような導線が取り入れられているのでしょうか?

ショッピングモールは1970年ころから登場した形態と言われています。

当時は日本におけるSCの黎明期でもあったことから欧米の最先端技術を取り入れた施設が多く、直線的な導線が敷かれていたのが特徴でした(リニア型)。

80~90年代にかけては、人間工学および環境工学の視点からモールの「蛇行化」「湾曲化」が主流に。これらは「リング型」や「グリッド型」とも呼ばれ、日本を代表するような大型ショッピングモールにも多数導入されました。それと同時に空調や空間の整備・開発にも力が入れられ、商業施設の「居心地の良さ」や「快適なスペース」が熱心に追求された時期でもあったようです。

またモールの両端に核となる店舗を置き、顧客にその間を行き来させることで買い回りをアップさせる「2in1型」が登場したのもこの時期だと言われています。

しかしこれらの型には

・集客できる店舗とそうでない店舗に開きが出る

・主力のテナントの集客力が落ち込むことで、顧客の滞在時間が総合的に短くなる

・歩行距離が長すぎて、一度通り過ぎた店舗には戻ってくる可能性が低い

・見通しが悪い

・行き止まりができる

といったデメリットも存在しました。

近年は「サーキットモール型」のショッピングモールが増える傾向にあります。サーキットモール型では、モール全体を消費者が回遊できる導線が確保されており、効率よくモール内を買い物することが可能。特に最近では、サーキットをショートカットできる導線を導入したり、レストランまたはフードコートとショップをサブ導線でつないだりする取り組みも行われているとか。モール中央に広場を設置し、全体の導線を統合する動きも見られます。

導線を工夫することで、来店した顧客が「疲れを感じることなく楽しく快適にショッピングを楽しめる」好循環が生み出されることは間違いないでしょう。商業施設が時代を超えて生き残るためには、「導線やモール設計を工夫し、いかに滞在時間と購買意欲をアップさせるか?」という視点がカギを握っているようです。