第一回 これからのSC座談会

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これからのSCを担っていく中堅層の方と、SCの躍進また消費者の楽しい生活の実現に向けて、SCやテナントがどういった方向を目指すことで実現できるか、を話し合う「第1回これからのSC座談会」を開催いたしました。

【座談会ご参加者様】※プロフィールは末尾に記載しております。※記事内参加者様の敬称略

デベロッパー企業様(SC):JR西日本SC開発株式会社カンパニー統括 石神様、東急株式会社 松藤様

テナント企業様(T):株式会社 Sparty 磯部様

           リンツ&シュプルングリージャパン株式会社 加柴様

サポート企業(E):株式会社イースト 有吉

ファシリテート:株式会社イースト 茂見


テーマ1:~コロナ渦で取り組んでいることや影響について~

石神(SC):

個人的には、良くも悪くも、不動産賃貸業なのでビジネススキームを伴う革新的な変化までは無く、大きくは変わらなかったのではないかと感じています。

もちろん現場は、お客様が来られないことや、テナント様が抜けていくことに、かなり危機感を感じました。

去年は弊社の施設で、オンライン福袋を行いまして、数百万円の売上こそあったものの、利益はわずかでした。新しいデジタル施策を積極的に取り組む姿勢ではありますが、ビジネスの観点ではなかなか難しい現実を実感しています。

有吉(E):

緊急事態宣言後、ライブコマースを某施設様で実施させてもらいました。テナント様の満足度や参加頂いたユーザー様からの良いお言葉や一定の売上など、相応の効果は見られたものの、「費用対効果」の面で、どうしてもライブコマース単体での指標判断からだと、デベロッパー様が継続することは難しい印象でした。

石神(SC):

テナント様からは結構厳しい声いただいたと思っています。

今は間接部門なので、あまりテナントのスタッフ様と直接お話しする機会は少ないですが、2022年2月に新しい取り組みをしようと思っていまして、今はテナントの本部の方へよくお話を伺いに行っています。

ファッションのナショナルチェーンの企業様とかは、自立をされていて動きも早い為特にデベロッパーへ頼ることはないよ、ということも言われてしまいます。

茂見:

テナント様からデベロッパー様への期待感はどういったところにありますか?

加柴(T):

どこのテナントもそうだとは思うのですが、私共は、やはり集客に期待を持っていますね。

石神(SC):

そうですよね。SCは集客装置であるから、出店していただいている部分が強いと思います。そういった面も踏まえて原点に立ち返らないといけないと思っています。

現時点でこの場では具体的な事はまだ言えないのですが、かなり思い切った取り組みを予定しています。積極的にテナント様の、オンラインでの取り組みを紹介していくような仕組みです。基本的には、現場のテナント様が喜ぶことを個人的には心がけています。

茂見:

なるほど、ありがとうございます。同じデベロッパーとして松藤様はいかがでしょうか?

松藤(SC):

石神さんのおっしゃったこのコロナ禍の中、ビジネス上のスキーム変革については、その通りだなって思うこともございますが新しいことをやるチャンスではあるなと感じております。

茂見:

松藤様コロナの影響についてはいかがでしょうか。

松藤(SC):

当社は、東急沿線上にショッピングセンターを出しており、そのほとんどが駅近くという立地です。今までは駅と一体となる商業施設は、何もしなくてもというと語弊がありますが、集客は鉄道による効果が大きいため、コロナ禍では本当に大きく揺らぎました。特に東急線は全国の中でも、通勤利用者のテレワークが加速したと言われております。

良い立地で商売しているからということではなく何かを加える必要が生まれました。最初の1年は、そのうち戻ると言った意見もあったかと記憶しておりますが、どうもそうではないなという状況になっていったかと思います。特に人と人が接していた決済まわりは非接触にする意識へと大幅に変わったと思います。

アプリやCRM(会員基盤)にも注目されました。

お店に来たときにお声がけすることが出来ないとなった時に、初めて顧客基盤を持っていることの重要性に気付かされたのだと思います。当社はコロナが騒がれる前から決済をフックにした基盤を作っていて、時代先行しすぎたかなと当時は思っていたのですが今は早めに着手していたことが功を奏したと感じています。

有吉(E):

渋谷スクランブルスクエアで開業時に導入されていた、ハウス型決済「ドットペイ」がまさにそれですよね。

 松藤(SC):

そうですね。2019年11月に開業した、渋谷スクランブルスクエアは渋谷の駅直結の施設になりますが当然例外ではなかったです。まさか店舗が閉まる(緊急事態宣言もあって)とは誰も想定していなかったですし、営業時間も短くなるとは考えていなかった。そんな中、決済とアプリを連動させたサービスは、コロナ禍でも存在感を発揮できるものになったのではと感じております。

茂見:

決済に関して、テナント側の視点でご意見を聞かせてください。

加柴(T):

コロナ禍に入ってからは、商品は良いけど、支払いが現金って・・・。というような反応はスタッフからもお客様からもあるので、試験的に、セルフレジを導入しています。

お包みはスタッフがしますが、お金の支払の面だけ、お客様にやっていただいたり、量り売りのラベルも、お客様自身で貼っていただいたりとお客様の反応を見ながらテスト的に実施しています。

松藤(SC):

変化の速度が、これまででは考えられないスピードですよね。

お金を直接触らないという、これまでの日本ではあまり考えられなかったことが普通になってきていて、衝撃を感じました。

茂見:

磯部様のSparyさまでは店舗で売らないといった新しいビジネススキームでのリアル店舗運営かと思いますが、いかがしょうか?

磯部(T):

弊社は一人ひとりの髪や肌質にあわせたパーソナライズアイテムを展開しているのですが、サブスクリプションサービスのため、基本的にweb上で決済してもらっています。そのため、決済という面ではあまり弊害もなく、変化を感じることもなかったです。

また、定期的に毎月商品が送られてくる仕組みなので、その契約のお手伝いを店頭でやっています。

サブスクリプションってちょっと怖いという慣れてない方もいるので、当日に持ち帰ることが可能なおすすめ処方も店頭に用意し、販売しています。

石神(SC):

D2C企業様をテナントにしたいというデベロッパーは増えていますね。

有吉(E):

高い家賃の商業施設区画になかなか出店できないD2C企業様を集めて、スペースを借りてまとめて展示するといったイベントは当社でもさせていただいています。

石神(SC):

全体的にD2Cのブランド様の出店意義と、我々の出店してもらいたいということの価値はマッチしていると思います。

出店することで、リアルとの接点がうまれ、これまでオンラインでしか商品が売れなかったものが、リアルで商品を知れるということかと思いますが、結局販売員の力がないと説明できない。我々らとしては、D2Cのコンセプトゾーンが欲しいわけではなくて、施設のメインターゲットに対して、パーソナライズスキンケアみたいなものが客層に合うし、施設全体の価値も上がり、店舗に買い周りが誘発されるというwin-winが発生しないとうまくいかないですよね。

茂見:

たしかにそうかも知れません。

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