キーワード「和」と「初物」のニーズ

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「日本の四季は美しい」―――――四季がある国は日本以外にもあるが、温帯に属す日本は季節の変化がはっきりしており、世界的にも春夏秋冬、美しい自然の景色を楽しむことができる国として知られている。

同時に、季節の変化が明瞭な日本だからこそ、海外では「日本の季節と人間関係」をテーマにした心理学の研究が多く行われている。

なぜなら、天候や気温の変化というのは人間の自律神経やホルモンバランス、メンタルヘルスケアに大きな影響を及ぼすと考えられているからだ。

その中の一つに中国とアメリカで個別に実施された「天気と感情」に関する研究がある。
実験参加者約170万人を対象に電話で今の気分についてアンケートを行う実験である。研究者たちは予め収集した実験参加者の居住地、気候特性とアンケート結果をデータ分析しその関係性を調べるというものだった。
結果、住んでいる場所の天気が自分の気分に影響を与えている可能性があると結論づけたのだ。

また、フランスの哲学者モンテスキューは1748年に出版した「法の精神」の中で、気候がどのように人間社会の形成に役立ったかについて触れており、そこから2世紀以上たった今でも「気候が人の性格を形成する」という概念が強く支持されている。

そんな科学的背景から鑑みると、四季がある国「日本」に住みながら良好な社会性を構築し、人間関係に季節の影響を受けにくい日本人は非常に興味深いものなのだ。

そしてその理由の一つとして独自の日本文化が伺える。

例えば「初物」である。

人間の脳には、記憶の種類が2通りある。
「知識的な記憶」と「エピソード記憶」
人間関係を深める為にはエピソード記憶を多く共有する必要があり、そのなかで重要なのが「視覚」「味覚」「ポジティブ感情」「初めて」の4項目である。

初物四天王として有名な「初鰹」「初鮭」「初茄子」「初茸」はもちろんだが、日本にはそれ以外にも新茶、新米など季節ごとに様々な初物がある。

そして「初物」を一緒に食すという行為にはエピソード記憶を残す上で重要な4項目が全て含まれている。

ダイバーシティの加速と共に、様々な価値観に触れ合う機会が増えた現代。

スポーツの祭典を目前にインバウンドニーズが高まる中、夏の「初物」をテーマに訪日外国人をおもてなしすることで、強いエピソード記憶を思い出に持ち帰ってもらいたい。