これからの商業施設に求められる生き残り戦略

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いつでもどこでも手軽に商品購入が可能なオンラインショッピングの登場により、ここ数年でリアル店舗は厳しい状況を強いられています。

かつて経済成長や人口増加に伴い国内市場が拡大していた時代、商業施設は「なんでも揃う憧れの場所」「トレンドの最先端」の象徴的存在であり、大々的な宣伝をせずとも商品が飛ぶように売れていきました。

しかし、そんなよき時代はとうの昔に終わり、昨今のような先行きの見えない経済状況下では、既存の店舗をただ運営するだけでは売り上げに繋がらないばかりか、維持することすら難しい時代となっています。

こうした経済状況に加え、商業施設の運営が厳しくなった背景には、

・飽和したショッピング市場

・少子高齢化による購買層の減少

・「オシャレで良いもの」から「低価格・機能性」を求める全体的な顧客ニーズの変遷

・オンラインショッピングの普及によるリアル店舗への来店者数の減少

といったものが挙げられます。

また最近では予期せぬ危機に直面することも多くなっており、リスクに強い店舗経営が求められる傾向にあります。

特に2020年から続くコロナ禍では、営業時間の短縮や従業員の縮小、閉店を余儀なくされる商業施設も。コロナが収束する見通しが立たない状況下で、高齢者や小さな子供を抱えたファミリー層などは外出を控える傾向にあり、3密となりやすい商業施設では安定した顧客獲得が難しい状況です。

激しい向かい風の中で商業施設が生き残っていくためには、顧客がわざわざ足を運びたくなるような付加価値を提供していくことが求められます。たとえば、

・リピーターを獲得するための、定期的かつ魅力的な「イベント」の開催

・公園や図書館など、無料で利用できる「憩いの場」の併設

・SNS映えが狙えるような、顧客を惹きつける魅力的な「空間デザイン」

・人々の「集い」や「交流」を促す、官民一体型の施設

・アートやエンターテインメントの提供など、「体験」を重視型のモール

・「高級感」、「徹底したコスパ」、「そこでしか食べられないグルメ」といったターゲットを絞った施設展開

など、ショッピング以外の価値をいかに消費者に届けられるかがカギとなるでしょう。

またアフターコロナでは、「インバウンド需要をどれだけ取り戻せるか」といった視点も重要です。観光ツアーの立ち寄り先に選んでもらったり、日本ならではの丁寧なおもてなしやきめ細やかなサービス、クオリティの高いメイドインジャパンブランドなどを海外に向けて発信したりすることが先細る国内需要に対抗できる一手となるに違いありません。

この先数年間は、

・顧客に「行きたい」と思わせる価値やきっかけを提供し続ける企業努力

・リスクに立ち向かう柔軟な発想とバイタリティ

しか生き残ることができない、商業施設の戦国時代が待ち受けているかもしれません。